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1989年の不景気により、このような「ベストの」システムでも、プロジェクトは景気の変動を無視できないことが示された。しかし成果物とシステムがよければ、損失は少なくてすむうえ、回復も早いと言えよう。

 

それでもダーリング・ハーバーのようなモデルは、少なくともニュー・サウス・ウェールズ州においては二度と現れる事はなかろう。

 

ダーリング・ハーバーが新しく導入したシステム(例:独白の品質検討委員会、建築規制認可システム等)は他でも採用されているが、州政府は、大規模開発事業において、同一組織が土地とその開発認可権限を同時に所有するのは適当でないと判断した。土地所有権を賦与された開発企業は、ホームプッシュの大規模なオリンピック予定地の開発と、ダーリング・ハーバーに隣接した巨大な市西部の再開発のみを行っている。

 

特に例を挙げなかったが、ダーリング・ハーバーのプロジェクトの進め方は利害の対立に脆く、透明性に欠けている。

 

オーソリティーは依然として、工事中の民間開発プロジェクトに対して確実で迅速な認可を効率的に行うために建設認可権を保持してはいるが、今後、オーソリティーの開発認可権限は、都市問題・都市計画大臣に移される事となった。

 

州政府が、現在シドニーにある数カ所のウォーターフロント関連機関を一つの大きな組織に統合しようという計画を検討しているため、オーソリティーの役割自体は西暦2000年以降に見直される。

 

ダーリング・ハーバープロジェクトに関しては様々な議論が起こった。現在でも多くの批判がある。しかし、その成功は何百万人もの利用者により正当に判断されるに至った。

 

 

 

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